$E$をコンパクト集合、$(\Omega,{\cal F},P)$を確率空間とします。$f: \Omega\times E\rightarrow {\mathbb R}$が各$x\in E$で可測のとき(確率変数のとき)、$f$を確率過程と呼びます。同様に、$H$をHilbert空間として、$F:\Omega\rightarrow {H}$が可測のとき、$F$はランダム要素と呼びます。この可測性は、$H$のノルムで距離を定義して開集合を定義し、各開集合の逆像が事象になっていることをさします。
この証明のために、まず$(E,B(E),\mu)$を測度空間とし、$g(\omega,x):=\sum_{i=1}^kI_{E_i}(x)h_i(\omega)$, $\omega\in \Omega$という形式の関数を用意します。ただし、$E_1,\ldots,E_k\in B(E)$は重なりがなく、それらの和集合が$E$となるものとします。また、$I_{E_i}(x)$は$x\in E$が$x\in E_i$であれば1、そうでなければ0であるとします。さらに、$f_i: \Omega\rightarrow {\mathbb R}$は可測であるとします。このとき、${\mathbb R}$の任意のBorel集合$B$について、$$g^{-1}(B)=\cup_{i=1}^k (E_i\times h_i^{-1}(B))$$とでき、これは積の$\sigma$集合体${\cal F }\times B(E)$の中にあります。つまり、$g$は$\Omega\times E$に関して可測になります。テキストでも設定したように、$\{(E_i,x_i)\}_{1\leq i\leq m(n)}$を設定し、
$$f_n(\omega,x):=\sum_{i=1}^{m(n)}I_{E_i}(x)f(\omega,x_i)$$とおくと、$\omega\in \Omega$を固定したときに$f(\omega,\cdot)$の一様連続性から、$f_n(\omega,x)\rightarrow f(\omega,x)$が$x\in E$に関して一様に収束します。したがって、$f$も$\Omega\times E$に関して可測である(可測関数列の一様極限は可測関数)。命題70(1)と同様の議論から、$\Omega\ni \omega\mapsto f(\omega,\cdot)$はランダム要素になります。