カーネルが可測であること(機械学習のためのカーネル5.1節)

確率空間を$(E,{\cal F},\mu)$とします。機械学習のためのカーネル第5章で、$k: E\times E\rightarrow {\mathbb R}$が可測であることを仮定しています。この意味について確認したいと思います。

任意の$\mathbb R$のBorel集合$B$について、$$\{\omega\in E\mid f(\omega)\in B\}\in {\cal F}$$であるとき、$f: E\rightarrow {\mathbb R}$は可測であるといいます。

$k: E\times E\rightarrow {\mathbb R}$が可測であるというのは、$\{(x,y)\in E\times E\mid k(x,y)\in B\}\in {\cal F}\times {\cal F}$を意味しています。ここで、${\cal F}\times {\cal F}$は1変数の可測集合の直積集合$C:=\{A\times B|A\in {\cal F},B\in {\cal F}\}$をすべて含む最小の$\sigma$集合体$\sigma(C)$になります。この仮定のもとで、以下のふたつが成立します。

  • 各$x\in E$について、$E\ni y\mapsto k(x,y)\in {\mathbb R}$は可測
  • $E\ni x\mapsto k(x,x)\in {\mathbb R}$は可測

いずれの証明でも、$k$の可測性から、$B$を任意の${\mathbb R}$のBorel集合としたときに、$A=k^{-1}(B) \in {\cal F}\times {\cal F}$であることを用います。

1つめは、$k_x(\cdot)=k(x,\cdot)$, $f_x: E\ni y\mapsto (x,y)\in E\times E$とおくと、$k_x=k\circ f_x$とできます。
このとき、$$k_x^{-1}(B)=f_x^{-1}\circ k^{-1}(B)=f_x^{-1}(A)$$となり、$A$の第2成分で$\cal F$の要素となります。したがって、$k_x$は可測になります。

2つめは、$g: E\ni x\rightarrow (x,x)$, $h: E\ni x\mapsto k(x,x)$として、$h=k\circ g$とできます。このとき、$$h^{-1}(B)=g^{-1}\circ k^{-1}(B)=g^{-1}(A)$$が得られます。このとき、$A$は同じ事象の対からなる事象となり、$h$は可測になります。